個性



 青年と少年の間のその彼は、目敏く男が吸う煙草の銘柄を確かめる。
「PARUAMENTのONE? なに? なんかあんのか、これ?」

 面白そうに、そして不思議そうに問うてくる。
 男はそれに対し、少し笑う。

―――― 実のところ、俺は今までに一番になったことがないんだな。たいてい、二番か三番。幸い、一番最後になったことはないが」

 青と紺の三角形の間に挟まれた1の数字を彼に見せる男。

「だから、コレなんだ」
「だっせ。そんなことかよ。俺には必要ねー煙草だな」
「羨ましいかぎりだ。一番は心地よいか?」
「違うね。俺はな、いつだって一番なんだ。一番を決めるのは他でもない、俺なんだよ」




+あとがき+

 バーでの会話とでも思ってください。一場面を切り抜いただけの文章ですから。

06.07.23

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