100円
西校の副会長、砂原唯香と一般生徒のくせに生徒会室に入り浸る立花要は、けっこう仲がいい。事情を知らない者ならば「付き合っている」と誤解するほどに。
けれども砂原は特定の恋人を作らずにあっちへふらふら。こっちへふらふら。
反対に立花は同じ年の恋人にベタ惚れで、本命一直線。
そんな二人が、何やら深刻そうに中庭の端っこで話し合っている。
が、内容はいたって簡単。
「明日の昼代もねぇんだって! 二千円でいいからさ」
「一食五百円で充分でしょうが。千円だね」
「男と女の胃袋を一緒にするなよ。三限目が体育だったんだよ。せめて1500」
「消費税いれても1100円」
「400」
「110」
「少ねぇよ!!」
最初に提示した値段から600円も減らしたのに、砂原は10円しか上げていない。ケチにも程がある。
「関西人を舐めるなよ」
「それなら俺だって関西出身だろ!」
関西出身だが、関西で過ごした日々は少ない。
お互いに小さい頃から弥瑛の寮に入れられているからだ。
「ええい、男が小さいことで煩い! 世の中百均という便利なものがあるんだ!! 1100円で大人しくしときなさい!!」
細かい数字に苛立ったのか、突然砂原の神経が切れた。
が、慣れてる立花はもうちょっと粘ろうと頑張る。
「でも、もうちょ・・・・」
「アンタあたしに逆らおうってのっ!?」
「・・・・・・すみません」
立花が弱いわけじゃない。迫力が足りないわけじゃない。
砂原が、強すぎるのだ。
終
+あとがき+
弥瑛学園西校シリーズ単品。
この学園のモットーは、男女間の友情、だったりするんです。もちろん、砂原さん天下の中で、ですけど。
05.05.29
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