Baby,Please go Home
少女は、新しい制服に身を包んで、彼氏の前に立つ。駄目押しとばかりにその場でくるりと一回転。
「どう?」
まんざらでもなさそうな少女の問い掛けに、しかし彼氏は無反応。
「どう、とは?」
「とはって! 新しい制服なんだよっ? 何か言うことあるでしょ? 新鮮だとか、似合ってるだとかっ!」
「そんなこと言ったって・・・・お前が可愛いのはいつもの事だし、なに着ても美人じゃないか」
「そんな当然の事実じゃなくって!!」
彼女が怒りを爆発させようとした、その瞬間。
「よく似合うよ」
彼氏は彼女どころか周りの人間すら魅了する笑顔で語る。
「すごく映える。よく似合ってる。同じ高校に合格できて良かった。一緒に通うのが今から楽しみだな」
「―――― うん」
あるデパートの制服売場で。
その試着室の前で。
数多くの家族がいる、その中で。
いま、みんなの心が一つになった。
『 さっさと帰れっ!! 』
終
+あとがき+
バカップル。実際にいそうですよね。こういうの。
ちなみに題名は我流で「頼むから帰ってくれ」と訳しました。
06.03.04
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