通りすがりの・・・


 屋上で一緒にお弁当を食べようということになった。
「いつものメンバーなんだから、場所変えたところで新鮮さはないと思うがね」
「唯香、黙れ」
 遅刻しそうだったので朝を抜いた立花要は、文句ありげな砂原唯香を一言で黙らせた。天下の副会長殿にここまで強く言えるのは、空腹時だけだろう。
「でも屋上って、グラウンドの横だぞ? 砂とか入らないか?」
「風向きとか考えればいいんだよ」
 生徒会会計の有須川透の言葉に、立花は少しだけ、空腹の怒りを和らげる。
 その態度の変化に思うところがあるものの、砂原は黙したまま、屋上への階段を昇る。もちろん先頭で。彼女が大和撫子みたく誰かの背後で大人しくしてるわけがない。
 ただ違うのは、彼女が自分で動くこと。先頭に立つからには扉だって木の枝だって、後方のために開き、打ち切る。
「日陰がいいなぁ・・・・」
 生徒会副会長としての特権を使い、失敬してきた鍵で鉄の重苦しい扉を開く。そして思い切り押し開いた。
 とたん、ぶわっと、風が押してくる。砂原は慌てずに扇子を開いて顔の前にやり、砂埃を防ぐ。
「////// ―――― うわ、唯香っ!!」
 うん? と名前を呼ばれて振り向く。
 するとそこにはほんの少々、頬を赤くした男子生徒が二人。
「おまえ、いま、スカートが広がったぞ! 少しは押さえろよ!!」
「女性らしい恥じらいとか、持て」
「いや、でも、見せてもいい下着だし。そんなのこっちが恥ずかしがったら君たちだって余計に恥ずかしいでしょ?」
「ま、まあ、そうだけど」
 確かに、平然とした彼女の佇まいに助けられている。
 立花と有須川は何もなかったように日陰に腰を下ろし、各々の弁当(立花はパン食)を広げる。
 そして「いただきます」と、ちゃんと口にする有須川が口を開こうとした時。
―――― って言えば安心する?」
 と、砂原が言った。


「「 その一言いらねぇ!! 」」




+あとがき+

 弥瑛学園西校シリーズ単品。
 色っぽくない関係ですね。でもこういう性格なんですよ、彼女。

06.03.25

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送