授業中、眠くなったので船を漕ぐ。別に国語の笹川は厳しい奴じゃねーし、どうどうと寝ててもいいけど、今日は自分が当たる日だから寝られねぇ。

（ねむ････）

　調子こいて昨日、徹夜でゲームすんじゃなかった。
　ふあっ、と欠伸したとき、前の席で必死にノートをとっているアイツが目に入った。いや、最初から見えていたけど、やっと認識できたって感じ。
　いまどき珍しい黒髪で、後ろで一本の三つ編みにしている。

　ふと、思いついた。

　足のつま先でアイツの椅子の裏側をコツンと叩いた。
　びくん、と面白いほどの反応を見せ、勢い良く振り向くアイツ。

（何するのよ！！）
（別に？　足動かしたら当たっただけ）

　自分でも嘘っぽい言い訳。もちろん、アイツにも通用してない。

（ もう止めてよね）
（ はいはい）

　そしてアイツが元どおりに座って数秒後、また突いた。また振り向くアイツ。今度は目くじらも立ってたりして。
　怒ったような目で睨んできた。でもすぐ笑みを浮かべてくる。怒りが持続しない性格なんだ。

（ 次にやったら本当に怒るよ）
（ はいはい）

　おかげで睡魔が消えた。もうしねぇよ、今日はな。



終