青春。



「レディース アーンド ジェントルメンッ!! 緊急要請ですっ! 美化委員の面々は直ぐ様中庭に集合して下さいっ!! 繰り返します!! 美化委員の・・・・」

 我が校の放送室は、放送部員以外、入室できない仕組みになっている。入口なんて電子ロックと南京錠の二重ロックになっているのだ。何でも数年前、生徒会の人間が放送室ジャックしたせいだ、とも言われている。
 妙に詳細な噂なので、事実だと周囲に思われている。もちろん自分も。

 そして放送部部員の仲田篤は少し、悩んでいた。

 うちの生徒会は成績優秀の人間が無条件に入れる、エリート集団。頭でっかちかと思いきや、お祭り人間ばかり。
 先輩たちは偉い人ばっかりで、人望もあって柔軟で機転が利いて。尊敬してるのは、自分にはなれないのを知ってるからだ。

 ―――― 砂原先輩とか、筆頭だよな。最強じゃん、あの人。

 同級生はちょっと変なのが多くて、でもこの学校ではそれが特色として認められるから羨ましくて。

 ―――― 真琴とか、特にそうだよな。生徒会長のくせしてさ。

 その上、真琴と寮の部屋が同じってだけで、自分まで変に見られる。

 ―――― 二人から見れば『普通 』だと思うのに、連るんでるだけで俺も『変 』なんて、おかしくない? 

 口に出して言える感情じゃないけど、もっと違う風に見られたい。
 この学園の制度は特別で、一般人とは違う『異端』の自分たちも、あんな『変 』な人たちの間にあれば、そこでは『普通 』になれる。でも、『普通 』を望むほど俺は『異端』に近いわけじゃない。
 なのにそこで『変 』って言われるのは抵抗がある。
 だからさ。
 だからさ、ほんのちょっとぐらい羽目を外したくなる気持ち、分かるだろっ?

「仲田っ!! さっきの巫山戯た放送は何だっ!!」
 放送室に突入してきた生活指導に驚いて、スピーカーの音声が最大量になってしまう。
「うおっ、先生っ!? 聞いてたんすかっ!?」
「全校生徒が聞いてたわぁぁぁぁっ!!」

 その途端、校舎中でハウリングが起こり、耳が良いもの(獣タイプ)は失神し、放送を面白がっていた生徒は頭痛、嘔吐、その他もろもろを引き起こした。
 職員室で仲田を説教した生活指導の八代は、

「じゅうぶん、お前も『変 』な連中の一味だ。安心しろっ」

 と、太鼓判を押してくれた。
 泣けてきた。やっぱり俺は『変 』の方向だったのだ。

 単純に、ヒーローになりたいという、それだけの理由じゃ駄目なのか?

 あのハウリングに微風も動揺してなかった砂原先輩や、昼寝から起きなかった真琴たちと自分は、同類に選ばれているのに下っぱなのだ。

「あいつらは『特別 』だ。安心しろ。お前はまだ『変 』なだけだから」

 先生は最後に慰めてくれたけど、先生自身、いや、教師全員が微動だにせず事態の収拾を計っている。

(・・・・・・あれ? もしかして・・・・・・・・・・?)


 ってことは、先生たちも『特別 』・・・・ってこと? そしてそんな教師に教わっている自分たちは・・・・・・特別予備軍?

 なんかそれって嫌だな。と、思わず突っ込んだ。
 悩んだことを俺は悔やんだ。




+あとがき+

 えーと、ですね。判らない内容ですよね。こっちも説明ずらいです。
 思春期の悩みって当人は必死だけど他人からすればどうでもいいんです。自分たちは本当に『普通』なんですよ、ってことです。どんな人もね。イジメとか、止めましょう。でも止めろと言って止まるものじゃない。イジメられっ子は自覚を持つべき。視点を変えるとすっきりしますよ。
 という、小説なんですよ。この小話は。

07.12.08

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