納得行かない
城から見える風景だけならば、どこか気候のいい外国に来たという思いが強い。
しかしここは地球ではなかった。異世界である。
「ドラゴンとか、飛んでそーなんだけどなぁ・・・・」
しかし鳥や虫は飛んでいても、ドラゴンは見えない。
「なぁ、ドラゴンとかいねぇの?」
「は? ドラゴン?」
何かの書類に目を通していたユースファ王子は、顔を上げて馬鹿にしたような声をあげた。
「いるわけないだろう、そんな想像上の生き物が」
「じゃあエルフは? ゴブリンとか、ユニコーンとかは?」
「本の読みすぎだな」
「―――― いねぇの?」
「いたら大変だろう」
「そうだけども・・・・」
せっかくファンタジーの国に来たのだから、一目ぐらいエルフには会いたかった。エルフは美人が多い設定だしな。
ユースファ王子はそんな志紀には構わず、香草茶のカップに手を伸ばす。が、中身はほとんどなく、冷えきっている。ユースファ王子はポットとカップの間にある布を手に取ると、それをポットに被せた。そして少ししてから、布を外して元に戻す。
そして徐にポットをつかみ、カップに香草茶を注いだ。まるで入れたばかりのような香りが立ち、白い湯気が上がっている。
「―――― 魔法はあるなんて、反則だ・・・・」
「そうだな・・・・河童ならいるが?」
「納得いかねぇ〜〜〜〜〜っ!!」
終
+あとがき+
妖精の類と思ってください。でもまあ、基本的に妖怪は妖怪の姿をしています。
川は河童のテリトリーで、湖は精霊のテリトリーで、海は人魚のテリトリーです。そんな感じで。
05.08.03
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