休み時間になるたびに、わざわざわたしの前の席を借りて、文庫本を読む幼なじみ。 ちょうど廊下側で、壁に背をもたれて、わたしの机に肘をついて、長い前髪の隙間から文字を拾ってる。 「なんでわざわざここに来るの?」 幼なじみの耳を引っ張る。幼なじみは痛そうに文庫本から顔をあげた。 そして言った。 「だって、こうやって話し掛けてくれるだろう?」 終